Ovall Ovall

Ovall

Shingo Suzuki(ベース)、mabanua(ドラム)、関口シンゴ(ギター)によるトリオバンド。2009年、アルバムリリース前にも関わらず朝霧JAMに出演。翌2010年3月にファーストアルバム『DON’T CARE WHO KNOWS THAT』をリリース。iTunes HIP-HOPチャートで1位。タワーレコード bounce 年間チャートで総合8位を記録。2013年にOvallとしての活動を休止し、ソロ活動に専念する。2017年に活動を再開し、2018年に、FUJI ROCK、RISING SUN、GREENROOM、Sunset Liveといったフェスに多数出演。また、台湾での単独公演も成功させる。また、映画「ハード・コア」の劇伴やエンディングテーマ「なだらかな夜 feat. Gotch」、テレビ朝日系ドラマ「dele」の劇伴にも参加。

——パーソナルバイヤーのオファーを受けていただきありがとうございます。この話を聞いたとき、まず何を思いましたか?

Shingo Suzuki:今、スマホやパソコンで音楽を聴く機会が多かったので、話を聞いて家にあったレコードをもう一回見つめ直してみたいとう気持ちになりました。

mabanua:親がレコードを持っていたので、小さいころにレコードって何だろうから始まって、中学生くらいからDJがレコードを使ってることを知って、20歳くらいになるとサンプリングにレコードが使われてることを知って。思い返すと、自分の生活のなかに、ずっとあったものだったんだなと。

関口シンゴ:最近、サブスクで音楽をよく聴くんですけど、好きな人のプレイリストを聴くと、自分が好きな感じの曲だけど知らない曲に出会えるんですよね。僕のレコードはジャズに偏ってて、ジャズ以外の音楽って何を買っていいかの分からないので、いいなって思いました。僕もほかのパーソナルバイヤーの方で買ってみたいなって思いました。

——では、みなさんが利用者の立場として、どんな方がパーソナルバイヤーだったら申し込んでみたいですか?

関口シンゴ:たとえば自分の場合、クラシック音楽に興味があるんですけど、取っ掛かりもなく、よく分からなくて…。だから尊敬している小澤征爾さんのような方がクラシック入門編として選んでくれたらいいなって思いました。

Shingo Suzuki:レコードショップの店員さんのセレクトは買ってみたいと思います。どうしても音楽仲間同士って似通った趣味になってしまうので。お店に足を運べなかったとしても、新しい発見をしたいなって思います。

mabanua:個人経営のレコードショップの方が選んだものを聴いてみたいなと。皆さん拘りを持って仕入れていると思うんで。

——今回、皆さんはどのような音楽を選ぼうと考えてますか?

mabanua:僕は今、ジャンルを特定できないものを魅力に感じていて。大きいレコードショップに行くと、ジャンルでコーナーが分かれているんですけど、最近いいなと思ったアーティストをCDショップで探そうとすると、どこの売り場に置いてあるのか分からないことがすごく多くて(笑)。自分がそういう音楽を好き好んで聴いている傾向があるんで、リスナーをそういう世界に誘いたいですね。

今年はソロとしてアルバム『Blurred』をリリースしたmabanua。作品は多方面で絶賛された。

——ジャンルを特定できない…。たとえば、どんなアーティストでしょう?

mabanua:最近だとニック・ハキムをずっと聴いています。フォークシンガーっぽいんですけど、ブラック・ミュージックの匂いもあったり。音響に関していうとR&Bみたいにくっきり音が出てるわけでもなくて、ちょっと薄汚れた感じとうか。ずっと聴いていたいと思わせる不思議な人なんです。誰にでも教えたくない人です。オススメのアーティストを教えてって言われたときに、すぐにニック・ハキムは教えない(笑)。

——お二人はいかがですか?

Shingo Suzuki:音の話になるんですけど、音を詰め込んで音圧をぐーーと上げて、パッと聴いた音を派手にする風潮があったんですけど、その反動で今はわりと、音圧なくて音数も少なくて温和な仕上がりのものが増えてきているように思います。音圧を上げた音楽って、レコードで聴いてもあまり良さが出てこないこともあるのかなと個人的にも思ってて。自然な音でレコードに録音したもの、CDやネット上で聴く音楽とは違った深みのある音楽を、一緒に探していきたいなと思ってます。

関口シンゴ:僕は、ギターがいい音で聴けるもの。レコードには、エレキだったらギターアンプで眼の前で鳴っている感じがあったり、アコギだったら目の前で弾いてくれているような質感があるから、そういった質感をより楽しめるものを選びたいなと。たとえば、ウェス・モンゴメリー。ヒップホップとかでジャジーなギターがのっているものって、彼が開発したオクターブ奏法がよく使われて。誰が聞いてもジャジーだなって思う音になるんです。彼の作品をCDとレコードで聴き比べると全然違うんですよ。CDだとそこまでのインパクトはないんだけど、レコードで聴いたときに音の太さに打ちのめされました。

ギターの関口シンゴ。手に持ってるのは、Ovallが劇伴を担当した映画「ハード・コア」のエンディングテーマ『なだらかな夜 feat. Gotch』の7インチレコード。

—— mabanuaさん、Shingo Suzukiさんは自身の楽器縛りでレコードを選ぶとしたら、どういったものでしょうか?

mabanua:アラバマ・シェイクスのレコードがすごく良くて、ドラムの音がすごくいいんですよ。レコードで再生することで、とくに感じられるのかもしれませんが、すごく低い周波数まで入ってて。すごくオーセンティックなバンドなんで、音像的には高域と低域が削られたライトなソウルミュージックかなと思いきや、トラップくらいの重低音。周波数でいうと30hzとか、もっと下くらいまであるんじゃなかっていう音が入っていて。それをレコードでぜひ体感してもらいたいな。

Shingo Suzuki:ウッドベースなんですけど、リチャード・デイヴィス。彼が60年代にエルビン・ジョーンズと組んだヘビーサウンズでImpulseから出したアルバムがあって。昔、ジャズ・バーで聴いたときに衝撃だったんですよね。リチャード・デイヴィスって重低音のサウンドを粘りっこく弾いていく人で、ウッドベースってこんな音がするのかって憧れとともに挫折を覚えるくらいの違いを感じたました。ウッドベースの音をそれで体感してもらいたいですね。

——今日は皆さんに好きなレコードを持って来ていただいたので紹介をお願いします。

ディアンジェロ『Voodoo』


Shingo Suzuki:ターンテーブルを買ってサンプリングで音楽を作ってみようとしていたころに買ったレコードです。さっき、セッキーも言ってたんですけど、レコードで聴き直したときに、マイクで録ったドラムの音がエディットはしてあるにしろものすごく肉厚で、間近に聴こえる。今回の話をいただいて、再度聴いてみたいと思った1枚です。


シャーデー『By Your Side』


Shingo Suzuki:以前、Waveというレコードショップに通っていたときにこれが100円で売ってたんですよ。表裏とも「By Your Side」。この1曲のためにレコード針を落として聴く。そのプロセスを経て、期待通りの音楽を出してくれます。


シャーデー『Cherish The Day』


Shingo Suzuki:彼女の曲ですごく好きな曲。最近、ロバート・グラスパーもカバーしてましたよね。これにはCDだと入っていないバージョンもあって。レコードってCDとはバージョンの違う曲があったり、ラップだったらアカペラがあったり、いろんなバージョンを楽しめるのも魅力ですよね。

スラム・ヴィレッジ「Tainted」
mabanua:J・ディラが抜けてからの作品です。サンプリングをしようと思ってレコードを買い漁っていた時期に買ったんですけど、これに関してはサンプリング用ではなく、聴きたいと思って買いました。ドゥウェレの声とか、ちっちゃいんだけど、その小ささが逆に気持ちいい。T3のラップのリズムもすごく独特で、オンでのせずにあえて後ろにずらしラップを入れてるのも、すごく気持ちよくて。


サーラー・クリエイティブ・パートナーズ『SONIC SEDUCTIION VOLUME 2』
mabanua:個人的には早すぎた人たちだと思ってます。サンダーキャットのようなフューチャーファンクを2006年、10年前やっていた。JAZZY SPORTに行って、当時コウジさん(grooveman Spot)が店員やってるときに買いに行って、これを買うのと同時に「ファンです!」って言ったのを今でも覚えています。買いに行ったときの思い出も含めて貴重な1枚ですね。

ウェス・モンゴメリー『A DAY IN THE LIFE』


関口シンゴ:これは、父親のもの。子どものころから家にこれがあって、ジャケットがかっこいいなって思ってた記憶があります。大学でジャズギターやってたんですけど、そのときにタワレコに行ったらこのCDが売ってて。そのときに、“これ、ウェス・モンゴメリーだったんだ”って気づいて。家に帰ってレコードで聴いたらすごくかっこよくて。こんなものが家にあったのかって。父親の形見じゃないですからね、生きてますから(笑)。


トム・ミシュ『Beat Tape 2』


関口シンゴ:音の質感がすごく好きで、iTunesで買ってたんですけど、これをレコードで聴いてみたいなと思ったので買いなおしました。origami PRODUCTIONSでインターネットラジオやっていたときに、BGMが必要だって言われて、この作品の曲を使ってましたね。

——皆さんもレコードでリリースをされていますが、作り手として思うことはありますか?

mabanua:ボーカルを1デシベル上げるか下げるか、低音を0.5デシベル上げるか下げるかってところまで精密に作っているので、できるだけ良い環境で聴いてもらいたいなって気持ちはあります。ちょっとでいいから自分の家の再生装置を、パソコンからスピーカにアップグレードしたいなって思ってもらえるきっかけに、自分たちの作品がなってくれたら。「レコードをファッションとして終わらせてはいけない!」って言う人もいるけど、最初はファッションでも良いと思ってます。パソコンやスマホで聴いてるとアップグレードしたい思わない。でもレコードで聴いてると、持ってるスピーカーとレコードが釣り合わないんです。小さいスピーカーでレコードを流して「レコードって音いいよね」って、きっと嘘だと思うんです。レコードってプラシーボ効果もあると思うんですけど、「音いいよね」って本気で言えるようになるには、ちゃんとした再生装置が必要で、自分たちの作品を聴いて、そこに向かってもらえたら嬉しいです。

——2017年に活動を再開して、今年はフジロックをはじめさまざまなフェスに出たりと活躍された1年だったと思います。振り返って思うことや来年の予定を教えてください。

関口シンゴ:4年間休んでいたのに、いろいろなとこに呼んでくれた、待っててくれたお客さんがいたことが本当に救われたし、エネルギーをもらった1年でした。なのでこれからは、新しいものを見せていかないといけないなと思っています。

mabanua:今年は過去10年くらいで作ってきた曲をやっていただけなので、これから制作をやって、ようやく再スタートしたOvallですって示せると思うので。来年は作品作りとライブを両立したいですね。

Shingo Suzuki:リリースは未定ですが、作り始めているものもあるので、近いうちに何かしらアナウンスできます!

——近いところだと、12月5日にmabanuaさんの『Blurred』のLPがリリースされますよね。

関口シンゴ:できたんだ!

mabanua:いま初めて見た!いいよね!

関口シンゴ:うん、いい! かわいいね(ジャケットを摩りながら)


mabanua『Blurred』のLP

Ovallの皆さんに、メッセージカードを描いてもらいました。

THREE1989

西暦1989年生まれの3人で構成されたエレクトロバンドTHREE1989(読み:スリー) Shohey(Vo)の圧倒的な歌唱力と美声、Datch(DJ)が生み出す、時にアッパーで時にディープなグルーヴ、Shimo(Key)の様々な楽器を使いこなす高いアビリティを駆使しパフォーマンスを行う。 1970~80年代のR&B、ジャズ、ロックなどに感銘を受けたメンバーが創り出す、現代的なサウンドの中に当時の懐かしさを感じる、ニューノスタルジックな楽曲が特徴。 INTERVIEW

真行寺貴秋(BRADIO)

日常の世界(Rule)に、素敵な時間・空間のイメージを加え(Do Image On)、良き変化(Break)を与えるがバンド名の由来であり「日常に彩りを加えるエンターテインメント」をコンセプトに結成された真行寺貴秋(Vo)、大山聡一(G)、酒井亮輔(B)からなるファンキーなバンド BRADIO。『音楽って素晴らしい』を共有したい。Are You Ready Funky Party People!!2010年結成。2017年10月シングル「LA PA PARADISE」でワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビュー。2018年7月に最新アルバム「YES」をリリースし、9月からは全国21都市をめぐるアルバムツアー「YES Release tour 2018〜ORE to OMAE de BOOM BOOM BOOM〜」を開催。2019年5月からは初となる47都道府県ツアーをスタートさせる。 INTERVIEW

新羅慎二(若旦那)

2003年に湘南乃風のメンバーとして「若旦那」名義でミュージシャンデビューし、 2011年よりソロ活動をスタート。自身のアーティスト活動の他にもプロデュースや作詞という形で加藤ミリヤ、関ジャニ∞、JAMOSAといった様々なアーティストの作品に参加。2018年からは本名「新羅慎二(Nira Shinji)」名義での活動を始めた。2018年12月に上演されたフラメンコ舞踊劇「Ay 曽根崎心中」への出演をきっかけに、フラメンコのカンテ(唄)での表現を追究している。2017年には本格的に俳優としての活動をスタートさせ、テレビドラマや映画、舞台にも出演。ラジオパーソナリティや漫画原作、雑誌『BARFOUT!』や『SENSE』での連載、イラストや絵画にも表現の幅を広げて活動。さらにムコ多糖症候群患者の支援活動や自然災害被災地の支援活動を継続的に行っている。 INTERVIEW

コムアイ(水曜日のカンパネラ)

アーティスト。1992年、神奈川生まれ。音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」でのミュージシャン活動の他に、映画『猫を抱くもの』に出演するなど、モデルや女優、ナレーターなど様々なジャンルで活躍。2018年6月、EP「ガラパゴス」をリリース。同ツアーではアジア10都市を巡るなど、海外にもフィールドを広げている。 INTERVIEW

D.A.N.

2014年に、櫻木大悟(Gt, Vo, Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求した音楽を展開。2015年、16年には、FUJI ROCK FESTIVALへ出演。ほかにもジェイムス・ブレイクやザ・エックス・エックスといった海外アーティストの来日公演でオープニング・アクトを務める。2017年には、初の海外公演をロンドンで行い称賛を浴びる。また、滞在中にフローティング・ポインツのスタジオで制作活動を行い、ジャイルス・ピーターソンのラジオ番組Worldwide FMにも出演している。2018年にはセカンドアルバム『Sonatine』をリリースした。 INTERVIEW

Ovall

Shingo Suzuki(ベース)、mabanua(ドラム)、関口シンゴ(ギター)によるトリオバンド。2009年、アルバムリリース前にも関わらず朝霧JAMに出演。翌2010年3月にファーストアルバム『DON’T CARE WHO KNOWS THAT』をリリース。iTunes HIP-HOPチャートで1位。タワーレコード bounce 年間チャートで総合8位を記録。2013年にOvallとしての活動を休止し、ソロ活動に専念する。2017年に活動を再開し、2018年に、FUJI ROCK、RISING SUN、GREENROOM、Sunset Liveといったフェスに多数出演。また、台湾での単独公演も成功させる。また、映画「ハード・コア」の劇伴やエンディングテーマ「なだらかな夜 feat. Gotch」、テレビ朝日系ドラマ「dele」の劇伴にも参加。 INTERVIEW

Yuka Mizuhara

モデルとして国内のファッション誌をはじめ、パリコレクションに出演するなど、 注目を集めているモデル / DJ。インスタグラムのフォロワーは約40万人と、 同世代の女性たちからも支持が高い。DJとしての活動の場も広げて、 英・NTS RADIOにも出演しDJミックスを配信している。 INTERVIEW